『凍(とう)』 (山の本:その二)

TVにて見たクライマー山野井夫妻の登山の実態を知りたくて沢木耕太郎の「凍(とう)」(新潮社版)を読んでみた。山野井泰史(やまのいやすし)自身も「垂直の記憶」の題で書いているが、ノンフェクション作家でもある沢木の本の方が読みやすいかと、こちらを選んで読んでみた。この本を読んで改めて夫妻の凄さを知らされた。山野井夫妻、特に山野井泰史は、作家の言葉を借りると「彼は、登山をスポーツにたとえるとオリンピックの100m競走の決勝に残れるスプリンターである」とのことだが、単独無酸素で世界の名だたる山頂、それも難攻不落の岩壁を登った世界的なビッグクライマーであることを教えられた。

日本において山野井の名が知られていないのは、‘彼が本質的に派手な振る舞いを好まず、TVや週刊誌にでることもなく、登山の費用もスポンサーをつけず全て自分でまかなっていたから’という。ただ、‘自分の好きな山を好きに登ることさえ出来ればよかった’登山家だったから、だという。(最近エベレストに担ぎ上げられた方とは大いに異なりますね)。この本は山野井夫妻が挑んだヒマラヤの高峰・ギャチュンカン(7952m)への極限のクライミングを余すことなく伝えている最高のノンフェクションの本であると思う。

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山野井夫妻は二人でギャチュンカンの北壁からの登頂を目指すが、妻の妙子が7500mの地点で高山病による体調不良で登山を断念。夫泰史が無酸素で単独登頂を果たすが、下山途中で二人は雪崩にあい、妙子は滑落し氷壁に宙吊りになった。雪崩で眼が見えなくなった泰史は妻を助けるべく登山生命をかけた選択をせざるを得なかった・・・・・。

この強靭な精神と技術をもった山野井泰史が、どんな環境で育ったか、どんな子供時代を過ごしたか、に興味を持ち、彼の父親の書いた「いのち五分五分」(山と渓谷社版)の本を読んでみた。この本の副題は「息子山野井泰史と向き合って」とある。危険と隣り合わせで登山を続ける息子への不安・苦しみ・生きがいが述べられており、「私とかみさんは常に悪夢に悩まされてきた」と本は始まっていた。この本を読んでまた考えらせられた。いったい人生とは、生きがいとは・・・・・。

どちらかというと登山専門の本なので興味ない人もあるでしょうが、この二冊はやはり多くの人に読んでもらいたい本ですね。


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この記事へのコメント

クサカル
2014年02月12日 23:09
きらなさんの記事を見てむしょうに読んでみたくなり、久しぶりに本を買ってみました。今度時間があるときにじっくり読んでみます。

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