『火山のふもとで』 (本)

北軽井沢を舞台とした本は「ジャージの二人」位しか読んだ記憶がありませんが、松家 仁之(=まついえ まさし)著によるこの本はまさに北軽井沢の自然と生活そのものを描いた小説でした。作者が初めて書いた小説と言うことですが、読んでいてその文章は女性が書いたかと思うくらい繊細で静かな語り口です。

“「夏の家」では、先生が一番早起きだった”とこの小説は始まります。。この「夏の家」は多分「大学村」(作中は「青栗村」)をイメージしての書き出しでしょう。そのように物語のいたるところに「北軽井沢」の風景と自然と人物が出てきます。先生の昔の懐古の話では「草軽鉄道」(「同「棚坂軽便鉄道」)も出てきます。「ホタル池」は?作家「野宮春枝」?・・・などもその池、その人が想像できて楽しいです。

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物語は“「ぼく」が入所した設計事務所は、夏のあいだだけ、軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わしだった。所長は大戦前のアメリカで名匠ライトに師事し、時代に左右されない質実で美しい建物を生みだしつづけてきた寡黙な老建築家。秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は佳境を迎え、その一方、先生の姪と「ぼく」とのひそやかな恋が、ただ一度の夏に刻まれてゆく――。”

建築に関する歴史や考え方などが文中で詳しく語られていますのが興味のない方には退屈でしょうが、その分、感情の細やかな描写、北軽井沢の小鳥などの自然のありさま、季節の表現などに身にしみて懐かしく感じる文章です。なぜこんな風な文章が書けるか、何故これほどまで建築の知識があるのかと疑問でしたが、著者の経歴を見ましたら元「芸術新潮」の編集長だったとあり、なんとなく納得がゆきました。

私はこのようなスローテンポの小説はどちらかというと苦手なのですが、今回は身近な友人と話しているように、また心地よい音楽を聴くように、あるいは美しいエッセイを読むような気分でこの小説を読み終えました。

北軽井沢にお住まいの方には一読をお勧めいたします。



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この記事へのコメント

クサカル
2013年09月22日 11:38
確かに、自分に縁のあるところが小説になると夢中で読んでしまいますよね。昨日2時間ドラマで軽井沢が舞台でした。大塚寧々、草笛光子、渡辺いっけい等が出演していて途中ダレてきましたが、軽井沢ということで最後まで見続けてしまいました。軽井沢といっても正確には北軽井沢や浅間山が頻繁に映され、私としては嬉しかったです。北軽井沢の1130のロビーや鬼押し出しも映っていました。1130は一度泊まりたいのですが、高くて。。。また小布施 及仙堂、軽井沢 三船山等が舞台となるのですが、及仙堂は、実在の松仙堂、三船山は、実在の荒船山なのではないかとあれこれ考えながら楽しめました。この「火山のふもとで」も早速読んでみようと思いましたが意外に高い!しかし評判も高いようです(笑)。いつか読んでみたいですね。
きらな
2013年09月22日 18:21
クサカルさん買って読むような本ではないかもしれません。私は図書館から借りて読みます。気に入れば蔵書として買います。なければ図書館に請求すると他の図書館から取り寄せてくれるか買ってくれますよ。
ところで中軽井沢の駅に出来た立派な図書館は外部の人でも閲覧出来るのでしょか?貸し出しは駄目でしょうね?

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