『一編の詩に慰められて』

スーパーで妻恋キャベツを買った。丸々一個68円とはどんな仕入れ価格だったのだろうと思いながら,保湿のために置いてあった新聞で丸めて家に持ち帰った。家内がキャベツを刻んでいるので、何気なくその新聞を読んだら、日曜の文芸欄があって、そこに投稿された詩「漂流」を読んで “ああ、今の生活を、こんな感受性で受け止めている方のあるのだ”と感激し一編の詩に慰められた。

「漂流」

もしも
冬眠している熊だったら
穴の中で産んだ小熊に
あれを食べさそう
あそこにも連れて行こうと
雪が溶けてからやりたいことを
あれこれ夢見ているだろう

もしも
地中のムスカリの球根だったら
まず目立たないように葉を出して
それから思い切り紫の飴に似た
花を一つ咲かせようと
春一番の風音にふるえながら
しっかり思い浮かべているだろう

もしも
間近に北へ帰る渡り鳥だったら
行き先に見知った川があって
変わらない木々があって
今と少し違うごちそうがあって
仲間と一緒に羽根を休める
そんな朝を信じて
飛び立っていくだろう

いま人は
もしも自分がと怯えながら
不安の海を漂う舟
見慣れた岸はどこにあるのか
どれだけ漕げばたどり着くのか
次第に荒れる波にもまれて
それでも
かっての当たり前だった風景を
かならず取り戻そうと
ひたすら
漕いでいる

私はA新聞をとっており、時々有名T詩人の詩が載るが、いつ読んでも言葉の遊びで、素人の私には面白くもない詩であるが、比べて、この詩は清水静子さんという藤岡市に在住の方が投稿された詩で、穏やかは普段の言葉で詠っているのがなんとも新鮮に感じ、心安らぐ詩であった。

コロナ禍のもと、美辞麗句を並べた政治家の自己主張の言葉と、遅々として進まないその政策にうんざりしていたが、何気なく開いた新聞の片隅にあったこの一編の詩で慰められた一日であった。花に例へれば、雨上がりに透き通ってひっそりと咲く「サンカヨウ」の花のような気がした。
《サンカヨウ》
P1080320.JPG



(参照)「漂流」の詩は2020年5月17日付けの「上毛新聞」の「上毛詩壇(選者 富沢智氏)」から引用させていただきました。

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