『風が冷たい』

風が冷たい。なんでも北国は大雪だという予報が出ている、試しに「雪見カメラ」を覗いてみたが、北軽はさほどの積雪はなさそうだ。暮だというのに、何もせず炬燵の中で猫のように丸まっているの体に良くないと、重い腰をあげて裏山の多摩丘陵を歩いてきた。二万歩目標で近くの公園から歩き始めた。高台の見晴台に立つと、丹沢の山越しに富士山が見えたが、生憎雲が出てきた。

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子供たちはもう冬休みに入ったのか、寒風の吹く中、思い思いに駆けずり廻っている。子供は“風の子”だ。丘を下っては上り、吊り橋を渡って歩く。枯葉を敷きつめた山路は、ところどころ霜が立って、サクサクと音をたてる。こんな音が好きで、以前はよく奥多摩の「笹尾根」を歩いたものだが、歳をとったせいか、出不精で近頃はご無沙汰している。

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赤い実のなる小道を進み、残った紅葉の赤を見上げ、もくもくと歩く。だんだん汗をかいてきたのでジャンバーを脱ぎ、軽装で藪椿の咲いている小道を進む。誰にも出会わないのがいい。

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桜の並木を歩く。既に枝先には大きな花芽がいっぱい付いている。あと三か月の長い冬が過ぎれば咲き始めるだろ。“三か月か!” 寒さはこれからだから、長い冬はこれからだから、と思いながら、言い聞かせながら歩く。
ふと見上げると「冬桜」が咲いていた。「十月桜」が正しい名前と言うが、珍しく八重に近い冬桜だった。冬桜は寂しい桜だが、なぜか今日は暖かく感じられた。 

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“冬来りなば、春遠からじ”。イギリスの詩人シェリーの詩だという。英語では“If Winter comes, can Spring be far behind ?”という疑問文。やはり春を待つ気持ちは“本当に春は来るのだろうか?”の気持ちが強いのだろう。

そんなことを思いながら出発点に戻ってきた。19、605歩だった。ちょっと足りなかったな。

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