『空へ・・・・(本)』

副題に「エベレストの悲劇はなぜ起きたか」とあるように、この本は1996年5月に、多くの死者を出したエベレスト登山隊の参加し、九死に一生を得て生還した「アウトドア誌」のレポーター ジョン・クラカワーによる悲劇の詳細を描いたドキュメンタリーである。この登山隊は、いわゆる商業登山隊(ガイド3名・顧客9名)であったが、ガイドの1名、顧客2名が死亡した。その顧客の中に日本人女性、難波康子も含まれ、彼女は日本人女性として二人目のエベレスト登頂を極めるも、帰路猛吹雪にあって凍死する。同じ日、他の登山隊も吹雪に巻き込まれ、合計12名がこの時期死亡し、エベレスト登山史上有数の遭難事故の一つ最悪の悲劇となった。

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世界の最高峰エベレスト(8848m)が発見されたのは、1852年インド測量局の技師シクダールによって測量発見され、それから初登頂まで101年の月日と25名の犠牲を必要とされ、1953年5月29日に英国登山隊、ヒラリーとテンジンによって初登頂がなされた。

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(以下はウエキペデアより引用)
エベレスト登山は一部の冒険家や国家的プロジェクトによる冒険であったが、バリエーションルートなどの困難な攻略が一巡すると経験を積んだ登山家の攻略対象ではなくなり商業化が進むことになった。

特に1985年に富豪ディック・バスがガイドによる全面サポートを受けた登頂に成功し、その過程を記した「セブン・サミット」を出版すると富豪や高所得者による七大陸最高峰の人気が沸騰。1990年代半ばには公募隊による登山が主流となり、アマチュア登山家であっても必要な費用を負担すれば容易にエベレスト登山に参加できるようになった。あらかじめシェルパやガイドによるルート工作や荷揚げが行われるため、本来なら必要であった登攀技術や経験を持たないまま入山する登山者が現れるとともに、ルートが狭い場所においては登山家が渋滞し、長時間待つようなことも増えた。

1996年、ニュージーランドのアドベンチャー・コンサルタンツ社は、1人65,000ドル(780万円)でエベレスト営業公募隊を募集した。探検家のロブ・ホールが引率して、世界中のアマチュア登山家と共に5月10日に登頂を果たすというツアーで、いわゆる商業登山隊(ガイド3名・顧客9名)であった。他にもスコット・フィッシャー (Scott Fischer ) が引率するマウンテン・マッドネス社公募隊も行動を共にすることになった。日本人の難波康子も参加した。参加者の中には、本来登山には必要ない大量の資材を持ち込んだり、不適切な性交渉を行う参加者がおり[注釈 1]、ガイドやシェルパの負担は小さくなかった。荷揚げの時点でマウンテン・マッドネス社の主力シェルパ、ナワン・トプチェが高所性肺水腫によって重体となり、この処理にシェルパ頭のロブサンが当たったため負担はさらに増加した。

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(エベレスト登攀図: 本書より)

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さて本読んだ私の感想だが、とにかく事故の詳細な記述には圧倒された。読んでいて苦しくなって何度も本を閉じた。エベレストとはどんな山なのか?と以前より興味があった。二年前に映画「ビヨンド エッジ」と言う映画を見て(http://kirana.at.webry.info/201407/article_4.html)、それが実写というので観たが画面の迫力は感じても、登山者の苦しさ、思惑はさすがに感じられなかったが、この本は個人のプライバシーも赤裸々にあらわし、こんなことを書いても良いのか?と思ったページがいくつもある。だからこそ真に迫ってゐるのだろう。迫力ある描写は実体験だろうが、作家の感情移入が強すぎてアメリカ隊には好意的だが、他の国(南ア、台湾、日本など)の隊には簡単な描写で、あるいは冷たい描写があるのが気になる。本当に彼らの立場で見ていたのだろうか?それと他人の感情を推察してもっともらしく書いているような気もするのが透けて見えるような気がした。自分の観察と推理は正しかったのだと。

しかしエベレスト登山が商業化しているのはショックだった。世界最高峰の登山も金次第ということか?。一人780万円払うのだから、金持ちと暇のある人しか参加できない。難波康子のように世界の六大陸最高峰の登頂者にとっては最後の山エベレストは、団体で行動できない身、あるいは単独者としての登山技術を持っていない身では、商業登山に頼らざるを得なかったのだろう。しかし中には単に登山後の名声や商売のために参加した人あると思うのは、少し穿ちすぎだろうか? そういえば80歳でエベレストに担ぎ上げられた人もいたが何のために登ったのだろうか?。頂上への最後のヒラリーステップで登山者の大渋滞が起っていた、など読んでいて信じられなかった。エベレストの山頂は夏の槍ヶ岳の渋滞と同じなのか?

それにしてもベテラン隊長のロブ・ホールが"午後2時までに登頂できなければ即引き返えす"との約束を守らず自らも遭難・凍死という結果になったのだろうか? 時間のサバを読んでいた、とも思いたくない。死んでしまった今となっては何もわからないが、疑問だらけである。あるいは高額の参加費を払った人に、もう少しで登頂という機会を失わせたくなかった、と言うのが正直なところで人間の弱さだろうか? わからない。

高山病に恐怖は恐ろしいほど伝わってきた。良く無酸素登頂の話を聞くが、あれはすごいことだと知った。高所性肺水腫や脳水腫の病状が良く分かった。 ここでも何回も高度順化の登山をやっていたが、やはり最後は個人の体力だろう。アンデスの5000mで吐き気を頭痛に悩まされた私など8000mの苦しみなどに比べればほんのさわりだったのだろう。

とにかく読み応えがあったのは確かだが、読んだあとの後見がすっきりしないのは、小説でなく事実を描いたからだと思う。 面白かったと言うにはかなり抵抗がある。

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