『告白』(本)

何とも読了後の後味の悪い本だった。図書館で何げなく手に取った本を読みだして、その導入部分に新鮮さを感じさせられて読み始めた。内容は、幼い娘を教え子に殺された中学の女教師が、“間もなく自分は教師を辞める”といった時に蒔いた復讐の言葉と行為が育っていって事件が起きる・・・・・・・という話だが、教育、イジメ、ひきこもり、エイズ問題等々の現在の社会の問題の内容が生々しい。

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話は、教師、生徒、母親といったそれぞれが「聖職者」、「殉教者」、「慈愛者」・・・という形で「告白」がなされ、じわじわと事件の確信に迫ってくるが、その心理描写はすごい。こんなこと現実に起こり得るか?小説だからだろうという気持ちにさせられないところがかえって鬼気迫ってくる。現実の世界でも600円為に女生徒の首を絞めた少年や簡単にストーカー行為で人を刺す若者を知るにつけ、この小説を読んでいて笑えなくなる。

ところで、作家と言うのは毎日こんな小説の筋書き考えているのだろうか?自己の体験ならともかく頭の中でこういった話をつくりだそうとすることに驚きをかんじる。江戸川乱歩は怪奇小説を書くのに、倉の中で蝋燭の火で書いた、といわれている。環境をそれらしくしてホラー小説を書くのならわかるが、それを頭の中で繰り返し反芻しては作品に仕上げるという作家とは何という職業か?。いや、人間とは常に二重、三重の人格・思想が頭の中で争っている恐ろしい存在なのかもしれない。それを赤裸々表わすのが作家の仕事かも知れない。

この作品、知らなかったが2008、9年のベストセラーで映画にもなったという。そのことは多くの人がこの小説の内容に共感したからかもしれない。

        『告白』 作者:湊かなえ 発行:双葉社


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この記事へのコメント

kazz
2014年03月26日 19:41
きらなさん、こんばんわ。
「告白」読みましたよ。
過去にあった様々な事件をツギハギして、
書き上げたという印象でした。
 私もきらなさんと同じく、
あまりにも命を軽く扱っていて、
不愉快な本だと思いました。
 でも読者をそんな気持ちに持っていけることが、
湊かなえさんのすごいところでしょうか。

 

きらな
2014年03月27日 06:40
「告発」読まれましたか。私としてはあまり推薦する本ではなかったのですが、なぜか引き込まれる本・文章でした。こういったのは今時の主流なのでしょうね。少しどぎつさを入れないと話題にもならなく、本も売れないのでしょう。
「神様のカルテ」3冊とも読みました。こちらは癒し系ですのでホンワカと読みましたが、深刻な問題を扱いながら、若者向きなのか少しメルヘン調の軽さが気になる読後でした。でもさすがに現役の医者。病気・治療に関してはリアリテイがあり、小幡先生の言葉が印象に残ってます。
そうそうテレビで映画もみました。しかし本にはかないません(笑い)。筋書きだけでした。

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