高山病の思い出

富士山が世界遺産になって急に登山者が増えたという。五合目までは車でゆけるので夕方に東京を発てば旨く行けば次の朝、山頂で御来光が見られるとのことだが、高度3,000Mを越すと人によっては思いがけない体の不調が起きる。いわゆる高山病で頭痛・吐き気に襲われ山小屋で寝込む人もいるという。富士山ではないが、私も二度ほど高山病を経験したことがあるが、あれは耐え難い経験だった。

仕事でペルーに行っていたときのこと。朝早く車で「リマ」を発ちアンデス山脈を越えて山の中にある「ウワンカヨ」という町に向かうことになっていた。距離にして約250KM位走ることになる。「リマ」は海抜 0Mだから3時間位で一気に4,000Mを登ることになる。現地の運転手と二人。彼は車のキャブレターを調整したので途中で停まることはないと言っていた。国道22号線を2時間走って鉱山都市「カサパルカ」という町についた。運転手はここから少し山に入ったところに「無線中継所」があって、そこは海抜5,000Mだという。世界一高いところにある無線局舎だという。避雷針も屋根上だけでなく横にも四つ付いているという。“行って見ないか?”と言うので私も興味があったので運転手に任せることにした。しかし、その道は45度の傾斜面をL型に切り取ったアクセスロードで、私の座る右側は断崖となって川に切り落ちている。命を運転手に預けてしまった感じ。高度はどんどん上がってゆくが、やがて雪渓にぶつかって車がスリップし、それ以上登れない。仕方なく引き返すことにしたが“スリップするので車を押してくれ”運転手が言う。車を降りたら何か変。頭がふらふらする。それでも押さないわけには行かないので、気付薬の代わりにすっぱいレモンを齧りながら車を押した。その時は頭痛・吐き気は無かったが、高山病の初期だったのかも知れない。

《ペルーの高山ーMt.Nevado Rajunte- 5412m.こういった山々はペルーでは数多くある》
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《アンデスの越えの間道。インカの末裔の娘がリャマを追っている》
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《途中で引きかえしたカサパルカの山》
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二度目も同じルートで、納入した装置の客先の立会い試験があるというので「オロヤ」という局舎に向かった。「オロヤ」は富士山と同じで海抜3,800Mであるが、局舎はその手前の「チイクリオ峠」の手前にあり、峠は高度4,800Mにある。車を降りた途端に骨と肉が離れるような感覚に陥った。ニ・三歩歩いたら猛烈な頭痛と吐き気が襲ってきた。胸はむかむかして今にも吐きそう。頭はががんがんと割れるような痛みで耐えられない。立会官に謝って彼らだけで試験をしてもらう。私といえば小屋の入口の階段に座ってタダタダじっとしているだけ。動けない。動いたら吐いてしまう。30分もそうしていただろうか。立会い試験も無事終わって“問題ない”と私の様子を見ながら笑っている。彼らに問えば少し頭が重いだけという。慣れているのだろうか?そう言えば途中の村では子供たちがサッカーに興じていたっけ。 車に乗ってすぐ海抜4800Mの「チイクリオ峠」を越えた。ここからは下り坂。「ウワンカヨ」に着いたのはそれから一時間後であったが、ここは海抜3,200Mである。ここまできて頭痛も吐き気も嘘のようになくなっていることに気がついた。“ああ、高山病ってこうなるのだ”と自ら体験した辛かった思い出です。

TVで富士山と高山病のことをやっていたので、それを見ながら昔のことを思い出したので、こんな思い出話を書いてみました。
(写真がセピア色なのは古い古い思い出だから)

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この記事へのコメント

二度上峠
2013年10月29日 05:02
高山病は経験したことありませんが、とても辛いんでしょうね。
標高4千メートルを越える所に住んで居る人々は、南米に限らず中国やネパールなんかにも居るんでしょうが、いくら適応性のある人間でも、「急」には適応出来ないということでしょう。
異文化には興味があっていろんな経験をしてみたいですが、これを拝見すると高山病は・・・ちょっと(笑)。
いよいよ北軽も冬が近づいてきましたね。「急」にマイナス15度まで下がるわけではなく、徐々にですから適応出来ますね。
きらな
2013年10月29日 10:08
車で少しずつ上がってゆけば大丈夫と思っていましたが駄目でした。天空の都市マチュピチも海抜2300Mですがリマから飛行機で行くと結構高山病にかかるそうです。
北軽井沢の人は高度に慣れているので大丈夫です(笑)。
昨日の朝はとうとう気温0度になったようですね。寒い冬はまじかです。風邪などひかれませんよう。お互いに注意しましょう。
nakao shinji
2020年08月06日 16:47
先日、ネットサーフィンをしていたところ、偶然にも貴ブログの高山病の思い出を見つけて読ませていただきました。

実は、私もペルーのワンカイヨ地上局/アプローチマイクロのプロジェクト業務で1983-1984にかけてこのカサパルカをはじめ、スーチェ、オロヤ、カチカチ、コンセプション等で高山病に悩まされながら作業をした思い出があります。
今では、ただただ、懐かしくも楽しくはあった思い出です。ありがとうございました。
きらな
2020年08月06日 18:59
Nakaoさん、それでは同業者かもしれませんね。もしかして現地でお会いしているかもしれません。私はMUX関連なので無線の方はOさん位しか知りませんが。お互いにずいぶん昔の話ですが、今となっては懐かしい思い出です。
nakao shinji
2020年08月18日 10:13
きらなさん、
MUXですか… おっしゃる通りどこかでお会いしているかもしれません。
リマーワンカイヨ間を何度も車で往復しましたが、ある快晴の日、テイクリオ峠(4,800m)を過ぎたあたりにあった緑かかった紺碧の氷河湖をみて感動したのを覚えています。
人間、感動したことは何十年過ぎても、そしてまた老いていても記憶は確かなものだと感じました。

ありがとうございました。

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