"北に遠ざかりて、雪白き山あり"

“十三日、手越を立ちて野辺を遥々(はるばる)と過ぐ。梢を見れば、浅緑、これ夏の初めなりと云えども、 叢(くさむら)を望めば、白露、まだきに秋の夕に似たり。北に遠ざかりて雪白き山あり。問えば、甲斐の白峰といふ。年来聞きし所、命あれば見つ。おほよそこの間、数日の志を養いて、百年の齢を延べつ。かの上仏の薬は、下界の為によしなくものかな。
     惜しからぬ命なれども今日あれば生きたるかいのしらねをもみつ

これは、鎌倉時代の紀行文「海道記」の一節であります。京にすむ作者が鎌倉までの「東下り」の紀行をつづったものですが名文です。鴨長明の作と伝えられていましたが、紀行文と彼の経歴とあわないので作者不詳ということになっています。有名な「十六夜日記」と同じ行路をたどっていますが、「日記」は昔読んだことがありますが、この「海道記」は初めてで、読んで感激しました。
何と言っても感動的なのは"北に遠ざかりて、雪白き山あり"と言う名句です。文中にある「手越」という地名は今の静岡市の西を流れる安倍川のほとりですが、ここから「甲斐の白峰」が望めるのかどうか私は疑問であります。
「甲斐の白峰」といえば、今で言う「白峰三山(しらねさんざん)」つまり南アルプスの「北岳」「間の岳」「農鳥岳」を指しますが、いずれも3,000mの山ですが、これが静岡から見えるのか? 南アルプスには南側に「赤石岳(3120m)あります。これは静岡からなら見られます。事実、この前に家内の実家に行った際、真っ白は雪を被った「赤石岳」を望めました。
見えるか見えないかは、この際問題外でして、山国の日本では冬場、雪を被った山々が眺めなれますが、一体何と言う山だろうといつも気になります。しかしその美しい姿にはいつも見とれてしまいます。
"北に遠ざかりて、雪白き山あり、問えば、○○の○○といふ”とのフレーズを使って地元の人に問いたい山々が多くあります。

今日は気温が20度を越しました。春はすぐそこです。再来週には桜が咲くでしょう。白い雪山もいつもの青い山に戻って行くので心行くまで今の冬山を眺めて楽しみたいという気分で、北軽井沢に戻ろうかと思っているこの頃です。

《北軽井沢の帰り、振り向くと遠く雪山が輝いていました。“問えば浅間という”》
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《そして前には谷川岳の雪の山々が》
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《「海道記」の作者の歩いた道筋》 (画面をクリックすると大きくなります)           
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